労務相談[企業・店舗側|有給休暇を多く取得した従業員の賞与を減らしても問題ないか?]|飲食求人 グルメキャリー関西

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有給休暇を多く取得した従業員の賞与を減らしても問題ないか?

私は飲食店を経営しています。
働き方改革がスタートしてからというもの、毎月必ず3~4日の有給休暇を取得する従業員がおり、シフト決めで人員を補充しなければならないため困っています。
忙しい時期は外して欲しいと言っても、その日に予定が入っているため変えられないと言って聞いてくれませんし、代わりにシフトに入ってもらう従業員からの不満も出ています。
当店では年2回、7月と12月に賞与を支給していますが、このように有給休暇を多く取得した従業員については「賞与を減額することがある」というルールを設けても問題ありませんか?

労働基準法では、原則として年次有給休暇の取得を理由として労働者に対する不利益な取扱いを行うことを禁止しています。

使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

労働基準法第136条

年次有給休暇は、労働者の健康の増進や心身のリフレッシュのために設けられた労働基準法上の制度ですので、労働者が年次有給休暇の権利を行使することを事業主が不当に制限することは許されません。
また、年次有給休暇を取得したことを理由として、皆勤手当などの賃金を減額することも労働者の不利益となりますので、許される行為ではありません。

では、賞与の査定において、年次有給休暇を取得したことで評価が下がるというルールを設けることが許されるのか検討してみましょう。

賞与は、労働基準法で支払いが定められたものではありませんので、会社で支払い額や査定方法を自由に決定することができますが、賞与査定の基準やこれまでの賞与の支払い状況などが今回のケースについてのポイントになります。

労働基準法の趣旨から見ると、原則的には有給休暇を取得することで賞与査定が下がると言うことは、労働者にとっての不利益な取り扱いになると考えられるため、有給休暇の取得を阻害する原因となり、違法と判断される可能性が高いと思われます。
しかし、ある裁判例では「労働者が失う経済的利益の程度や年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱などを総合して、年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制したり、権利を実質的に失わせるものとでない限り、無効とすることはできない」という見解もあります。

以上よりまとめてみると、例えば賞与が毎回決まった支給方法や支給額である場合や、賞与の支給額に対する減額の割合が大きい場合(例えば10%以上など)は、不利益となる程度が大きくなるため無効とされる可能性が高いでしょう。

一方、賞与の査定とは関係なく、事業所の有給休暇の取得率が比較的高い状況にあり、査定で減額される程度もわずかな場合(例えば1~5%程度)であり、賞与の支給基準が利益や売上に対する貢献度を分配するように制度化されているのであれば認められる可能性はあります。
ただし、一般的には有給休暇を取得した場合に賞与が減額されるとなると、有給休暇の取得を抑制することに繋がりやすいため、減額ルールを設けることは好ましいことではないと考えられますので、制度化されるのであれば十分注意して行ってください。

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